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「 春めく 」

中小企業(金融機関等)の市場運用における基礎の基礎

意外にまともなポートフォリオ

 先日、とある会社のポートフォリオを検証する機会がありました。この会社、数年前に運用担当者が変わってその後のポートフォリオは大丈夫かと言うものです。当然、サラリーマン担当者なので運用スタンスは前任者を引継ぎ、金利水準お構いなしに超長期債も含め毎月定額を購入しています。さすがにマイナス金利のものは購入していないものの、0.1%台の20年政地債(国債を含む)、0.02%の5年金融債も含まれています。日本銀行が10年国債の目標金利水準をプラス金利としてから20年債は0.1%台から0.6%台へと上昇し、含み益も少し前の7割程度まで低下しています。さぞ悲惨なポートフォリオかと思いきや、これが意外にまともなポートフォリオで、平準買いの力と申しましょうか、0.1%を下回る債券でもアンダーパーとなっていないものがあるのには驚きました。0.1%台の20年債は90円前後の時価となっていますが、これを除けばおおむね良好なのでしょう。

 でも、3割の含み益はどこへ消えたのでしょうか、今後も金利が上昇すると含み益はどんどん減少します。計算上では10年債の金利が0.5%となる前に含み損益はゼロとなることが予想され、今ある含み益をどのようにして先送りするかがポイントとなります。どうせ消えてなくなる含み益なら今の内にこの含み益を使って保有する低クーポン債を入れ替える必要があると思いますがいかがでしょうか。金利が上昇したのだから含み益が無くなって当然と言われればごもっともな話ではありますが、これが運用担当者の仕事であり、ポートフォリオの健全化はしいては自分のためでもあります。ボロボロになったポートフォリオで運用を続けなければならない状況を考えるとぞっとしますし「仕方がない」で片付けられますか?

 ポートフォリオを検証した会社の運用担当者にポートフォリオの健全化も含め自分は今後どうしたいのかを訪ねてみました。すると「無理して損を出す必要はない」との答えが返ってきました。おそらく「損=失敗」と言うサラリーマン的な方程式が根付いているのでしょう。会社の役員は損を嫌う、しかしながら、運用の全てで勝つことは不可能で、損を出さずに益だけを出し続けるとポートフォリオはボロボロとなり自分も苦しみ続けなければならない言う悪循環が発生してしまします。運用担当者の大切な仕事の中に本業の収益をカバーし最終損益を赤字にしないと言う役割があります。一時の収益よりも中長期的な収益管理が出来なければ辛い仕事となってしまいます。もちろん、債券だけではこの収益管理は不可能ですが、何とかしなければならないのも現実です。

 

 債券の含み益が無くなってしまったら・・・