「 春めく 」

中小企業(金融機関等)の市場運用における基礎の基礎

株が上がって来ました。

株が上がって来ましたが、もう高くて買えませんか・・・

そもそも株は何のために買うんだったんでしょうか?

配当金を取るためだったと思いますが、賛同くださった方は大儲けじゃないでしょうか。とにかく今の市場運用は有価証券利息配当金の確保ですよね。株式運用では利回りの高い株を買って、株価が下がったら入れ替えてさらに利回りを上げていくこんなイメージだと思います。株価水準は関係ないかも・・・

配当金を確保する株式運用、こんなのはいかがでしょうか

 1.利回りが高くて顔の良い株式を買う(例えばトヨタ等)

 2.20%下落したら売却して買いなおす(売却損は債券売却で穴埋め)

 3.株価が上昇しても売却はしない(売却益の確保は金利が上昇した時)

マイナス金利政策なので債券での利息配当金確保は難しく債券購入の目的は売却益確保となりました。そこで、株式で債券の代わりに配当金を確保するには、価格変動リスクを軽減するためローリング効果を意図的に作る必要があります。含み損の排除です。少しテクニックも必要かとも思いますが、いかがでしょうか。

もちろん株だけでは債券大量償還の穴埋めはできませんし一例ですが、少しでもお役に立てれば幸いです。(ご質問等があればお気軽に)

結局金利は上がらない・・・?

 お盆にご意見を頂戴した結果、結局金利日本銀行が握っているというあたりまえの結論になりました。世界ではテーパリングが進む中、日本だけがその流れに逆行できるのかということですが、景気回復イコール低金利というシナリオが崩れない以上金利は上がりようがないということです。では、このシナリオは崩れないのかというと、崩せないというのが一般的な回答になろうかと思います。景気回復は誰もが望むことであり、政権が変わっても、日銀総裁が変わってもこれだけは変わることはありません。しかしながら、マイナス金利政策は今のところ通常の金融政策ではない(そう思っているのは私だけかもしれませんが・・・)ことから誰かが止めなければなりません。その時期が重要になります。これを質問すると、「正直なところ分からない。当面は無いはずだが、金利の上昇(正常化)は必ず起こる。」との回答です。需給で動いていない債券マーケットを予測する債券アナリストはマーケットではなく日銀を読む仕事になっているようです。

 そこで、こんなお願いをしてみました。高クーポン債の大量償還は今後も続きます。金利が上昇しなくても含み益はどんどん減少し、収益(コア業務純益)も圧迫します。外国国債のラダーファンドはヘッジコストの上昇で含み損を抱え、償還損はほぼ確定しています。また、地政学リスクから今後の株価についても、為替動向についても不透明な状態となっています。今は表面化していませんが、このリスクはどんな形であれ確実に襲ってきます。今、どのような対策が必要か教えてほしい。というお願いです。

 お門違いだったかもしれませんが、鍵は今の含み益にあることで一致しました。それで、どうするのとは言わないで下さい。当たり前のことですが重要なことだと思います。遅れると大変なことになるようにも思います。

 詳しくは、また

そろそろまずくないかと考えてます

 決算にかまけてたらすっかりご無沙汰してしまいました。

 ところで、債券市場そろそろまずくないですか・・・。フロントから外れて3年近く、全くのハズレかもしれませんが、今の政権と、日銀、今までの経験からなんとなくですがそんな気がします。それを確かめるため、来週数人の知人(著名なマーケット関係者です)にお話を伺ってきますのでこの問題はその後で書くこととします。

 信用金庫のディスクロを順番に見てたら、金利上昇対策に取り組んでおられる信金さんを見つけました。事情と内容は分かりませんが結果的にはそう見えました。とにかく大胆な対応です。金利が上がらなくても数年で含み益は無くなるわけで、今の含み益を有効活用出来たものだけが金利上昇時の怪我は小さくて済みます。金利が上がらなければあと数年の猶予はあるのでしょうが、待ってもメリットは小さいと思うのですが・・・。

 私は絶賛です。

 

 僕の知人の息子は大地って言いますが、昨年10月に結婚して3月には子供が生まれました。良い悪いでの個人差はあるのかもしれませんが、早くても何のデメリットもありません。

マーケットニュートラルと言う投資信託

 「債券の含み益が無くなってしまったら・・・」というタイトルで投稿する予定でしたが、またまた、マーケットニュートラルが流行ってると言うのを聞いてこちらを先に検証することとしました。

 以前、マーケットニュートラルが大流行して、すぐに姿を消した事がありましたが、今の運用担当者はその事はご存じないらしく、やはり夢の投資商品のように考えている方が多いらしいです。今はAIの時代ですから運用方法は以前とは異なるのかもしれませんが、マーケットニュートラルは株価が下落することが大前提で、以前姿を消した原因は、株価が上昇したにもかかわらず投資信託の価格が下落し、マーケットニュートラルとしての役割を果たさなかったことにありました。株価は下落が当たり前、でも配当金は魅力といった時代背景があったように思います。

 今のマーケット環境はどうでしょうか、なぜこの時期にマーケットニュートラルが流行るのか、株価が上昇基調であれば、わざわざ手数料を支払ってヘッジする必要はないわけですから運用担当者は株価は下落すると考えているのでしょうか。おそらく、債券で利息収入を確保できなくなったことが大きな要因ではないかと考えます。以前にも言いましたが、国内で2%の利息(配当)収益を確保するためには株の配当金くらいしかありません。しかしながら、価格下落リスクの大きい株式を多額に購入する訳にもいかず、マーケットニュートラルと言う計算上リスクの小さい夢の投資信託に資金が流れているのだと考えられます。

 では、本当に夢の投資信託なのか、VaRと同じで、過去のデータから今後を予測して運用することは理論上可能だとは考えられますが、マーケットニュートラルは事実上不可能だと考えた方が現実的な気がします。フルヘッジすれば儲けは出ないので上昇か下落かどちらかに投資を傾ける必要があります。予想が外れた時点での反対売買はヘッジではなくて損の確定でしかありませんから、今のマーケットニュートラルは急激な株価下落で損が発生することになります。手数料も払ってるので損はそれ以上かもしれませんね。もう一つ考えなければいけないのが、「この投資信託の運用シナリオを過去のマーケットでシミュレーションしたトラックレコードは〇〇%の運用成績となります。」と言ううたい文句です。トラックレコードの悪い投資信託は売れない、言い換えれば投資信託は過去のトラックレコードに合わせて設計されており今後のマーケットシナリオは反映されにくいということです。理論上はローリスクでもハイリスク・ローリターンとならないように注意が必要かと考えます。

 ところで、債券の含み損益は10年金利が0.4%程度上昇しただけで無くなってしまうことは良く言われますが、金利が上がらなくても5年後には無くなってしまうことはあまり言われていません。おそらく運用担当者は知ってると思いますがその対策が無いことから誰も言わないのかもしれません。ベンダーからの還元資料にもあると思いますが、縦軸に金利、横軸に残存年数としたグラフの中に残高と含み損益を入れていくと一目瞭然かと思います。当局からこの対策について何も言われないのは、今後の金利上昇を物語っているのかもしれませんね。運用担当者にとって今は居心地が良いかもしれませんが、今後の対策に今から取り掛からないと大変なことになりますよ。サラリーマン運用担当者では難しいかも、不良債権も増えますよ・・・

 

意外にまともなポートフォリオ

 先日、とある会社のポートフォリオを検証する機会がありました。この会社、数年前に運用担当者が変わってその後のポートフォリオは大丈夫かと言うものです。当然、サラリーマン担当者なので運用スタンスは前任者を引継ぎ、金利水準お構いなしに超長期債も含め毎月定額を購入しています。さすがにマイナス金利のものは購入していないものの、0.1%台の20年政地債(国債を含む)、0.02%の5年金融債も含まれています。日本銀行が10年国債の目標金利水準をプラス金利としてから20年債は0.1%台から0.6%台へと上昇し、含み益も少し前の7割程度まで低下しています。さぞ悲惨なポートフォリオかと思いきや、これが意外にまともなポートフォリオで、平準買いの力と申しましょうか、0.1%を下回る債券でもアンダーパーとなっていないものがあるのには驚きました。0.1%台の20年債は90円前後の時価となっていますが、これを除けばおおむね良好なのでしょう。

 でも、3割の含み益はどこへ消えたのでしょうか、今後も金利が上昇すると含み益はどんどん減少します。計算上では10年債の金利が0.5%となる前に含み損益はゼロとなることが予想され、今ある含み益をどのようにして先送りするかがポイントとなります。どうせ消えてなくなる含み益なら今の内にこの含み益を使って保有する低クーポン債を入れ替える必要があると思いますがいかがでしょうか。金利が上昇したのだから含み益が無くなって当然と言われればごもっともな話ではありますが、これが運用担当者の仕事であり、ポートフォリオの健全化はしいては自分のためでもあります。ボロボロになったポートフォリオで運用を続けなければならない状況を考えるとぞっとしますし「仕方がない」で片付けられますか?

 ポートフォリオを検証した会社の運用担当者にポートフォリオの健全化も含め自分は今後どうしたいのかを訪ねてみました。すると「無理して損を出す必要はない」との答えが返ってきました。おそらく「損=失敗」と言うサラリーマン的な方程式が根付いているのでしょう。会社の役員は損を嫌う、しかしながら、運用の全てで勝つことは不可能で、損を出さずに益だけを出し続けるとポートフォリオはボロボロとなり自分も苦しみ続けなければならない言う悪循環が発生してしまします。運用担当者の大切な仕事の中に本業の収益をカバーし最終損益を赤字にしないと言う役割があります。一時の収益よりも中長期的な収益管理が出来なければ辛い仕事となってしまいます。もちろん、債券だけではこの収益管理は不可能ですが、何とかしなければならないのも現実です。

 

 債券の含み益が無くなってしまったら・・・

誰も読んでないと思ってましたが・・・

 誰にも読まれてないと思ってましたので日記のつもりで書いてましたが、数名の方は読んでくださってるようで、もう少し真面目に解りやすく書かないとって反省しています。

 私は運が良く15年以上小さな金融機関で市場運用をやってましたが、ご承知の通り金融機関の運用担当者はサラリーマンなので運用の基本が解らないまま異動になってしまいます。だからと言って、投資会社や証券会社の運用とは求めるものが違うので担当者を引き抜いても上手くいかないことが多いようです。私の会社の運用資産は数百億円でしたので運用は一人で行わなければならず、バブルの崩壊による不良債権処理も重なり毎年十数億円を稼ぐ必要がありました。時価会計の導入、株価の低迷からそれまでの株式にのみ頼ってきた運用ではこの金額を稼ぐのは困難となり色々な運用を試し、損失を出したこともありましたが、この経験から金融機関が取り組むべき運用(負けない運用)が私なりに見つけられた気がします。少しだけ上に行くこととなりフロントから外れたことからそのノウハウを残すこととしました。運用はどちらかが損をするとどちらかが儲かる仕組みになっています。間違いだらけの運用(手数料の払い過ぎ・儲けを考えない投資・リスクを考えない目先の投資等)に気付かずリスクリターンが計算できないのは担当する期間が短いと言うサラリーマンの宿命かもしれませんが、これを収益源とする商売が存在するのも事実です。

 もう一つ運用を難しくしているのが当局の対応です。こちらも担当者はサラリーマンなのでマニュアルどおりの対応となります。今流行りのアクションプランは「金利の急激な上昇」「株価の急落」等が起こった場合にどのような対応をするかを考えておくことのようですが、私はかつて「その時は買いなので、その時のために十分な流動性資金(中短期債を含む)を確保しています。」と答えて「運用の話ではなくてリスク管理の話をしています。」と切り返されたことがあります。しかしながら、アクションプランで売却しなければいけない証券を持っていること自体リスク管理ができていないのであって、損が大きくなってから売るのはおかしく、アクションプランとは関係ないような気がします。もし、アクションプランを作成していて、金利が〇〇%上昇したら〇〇債券を売りますといったことが書いてあったらこれは普通に考えてもおかしい。でも当局にはOKかもしれません。これが運用を混乱させているのかもしれないし、これでは儲けられないとも思います。

 これからは、テーマに沿って「間違いだらけの勘違い運用」について書いていければと考えています。騙されると言ういい方は間違いかもしれませんが、収益面で損をしているのは事実で、マイナス金利政策の中、誰もが必死で生き残りをかけて戦っています。おこがましいですが、少しでもお役に立てばと考えます。

ラダーファンドが流行ってますが、ヘッジしたら負けるかも・・・

米ドル債のラダーファンドが人気ですが

ヘッジコストが上がって価格が下がったなんて話を耳にします。

そもそも論ですが

何のためにラダーファンドに投資したのかを考えると

① 円金利が低下して円債では収益が稼げなくなった

② 直接ドル債に投資した場合為替差損がPLにヒットする

③ コア業務純益を稼ぐために利息収益が必要

などだと思います。

では、なぜヘッジをするのか

1) 円高になっても安心

2)稟議の決裁が取りやすい

3)ヘッジコストが安い(ちょっと前の話です)

などだったと思います。

 

ところで

本当にヘッジの仕組みが分かっていますか?

フルヘッジしたら米金利も円金利と同じになるって知ってますよね。

なので、ヘッジコストは金利から払われます

ここがポイント!

また、ヘッジの期間を3か月とか1か月にして回しているので

次のヘッジコストは高くなる可能性もあります。

デリバティブで利息は確保できるのかもしれませんが)

ということは、

2)の稟議を通すため以外理由が見つかりません

決裁者さんも叩き上げでないと難しいのかもしれませんが

皆さん「ヘッジ」と「リスク回避」という言葉に弱いようです。

 

機関投資家(最終投資家)にとってヘッジは

損を確定する(損を拡大させない)ものなので

ちょっと乱暴ですが、ヘッジした瞬間に負けが確定します。

通貨スワップはヘッジでなくて運用でないとダメなはずですよね

販売業者の売り文句ではフルヘッジって言ってるようですが

ヘッジが有効なのは最初の3か月だけのような気もします。

リスクを取らないと収益は確保できません

今は何でいくら稼ぐ必要があるかをしっかり認識し

それに伴うリスクはどのように排除するかを考えないと

今のマーケットでは生き残れないような気がします。

円債は今までにない含み益になっていると思います。

でも、金利が上がれば(10年国債が0.5%になったら)無くなってしましますよ

今使わないでどうします?

外債買って、為替リスクは円債で埋めれば良いと思いますが

いかがでしょうか